以下の文章は、会員制の文章執筆サロンふみサロの合評会に提出するために執筆しました。
今回読んだ本は、細川貂々著、『ツレがうつになりまして。』でした。
スーパービジネスマンなんか、演じなくたっていい!
この本を読んで感じたことは現代社会は「スーパービジネスマン」しか生き残れないのかもしれない、ということだ。そして、私たち身体障害者も「スーパービジネスマンを演じようと、無理してはいけない」ことを痛感させられた。
私には重度の視覚障害と肢体不自由の重複障害がある。視覚障害の程度は未熟児網膜症により右目は失明、左目にも重度の視力障害と視野障害があり、日常の文字の読み書きには点字を使用している。肢体不自由障害の程度は脳性麻痺による運動機能障害があり、主に左手と左足が動かしづらく、外出時には車椅子を利用し介助者を同伴している。 私は6年ほど前、特別養護老人ホームの事務職員として在宅勤務していた。就職活動したのが2009年、就職できたのが2014年頃だったこともあり、最初はとにかくエンジン全開で、仕事をしていた。この本の冒頭、貂々さんのご主人がITサポートセンターで元気に働いていたときの状況に近い。
とにかく上司からの作業指示は締め切り時間よりも前倒しで終わらせる。上司からのメールには素早く応答することを心がけていたので、私のことを知らない人は、健常者が作業しているのではないかと感じたと思う。
そんな仕事ぶりを見ていた母に、「あなた、この会社でずっと働き続けると、目や身体を酷使しすぎるよ。目を使いすぎると全盲になることもあるから、さっさとこの会社辞めなさい!」と、止められた。眼科の主治医からも、「河和さん、今のところお上手に残存視機能を使って生活されていらっしゃいますね。でも、無理は禁物ですよ。」と指導された。私には、貂々さんのように、仕事を辞めさせるように仕向けてくれた人がいたからこそ、これ以上無理せずに済んだ。よきアドバイザーに感謝したい。
この本のテーマは「うつ病」について書かれている。しかし、重度の身体障害者も、無理をした結果、精神を病んだり、身体を壊したり(自分の障害が悪化したり)する可能性もある。特に働く障害者は「早く、仕事で結果を出したい」、「健常者と同じように仕事ができる」と認めてほしいという思いから、無理をしやすいので注意が必要だ。
そのためには、以下5点のことが必要と考える。
- 主治医や医療スタッフから自分の障害や病気についてきちんと説明してもらう(辛いかも知れないが、無理しすぎた場合、最悪どんなことが起こるかも確認しておくと望ましい)
- 心理面で不安なことを感じたときに、相談できる専門職員(主治医、看護師、カウンセラー等)を活用できること
- 福祉制度(介護ヘルパーの派遣等)や補助具を上手に活用できること
- 病気や障害について理解ある人と過ごす時間を作る
- あえて、だらだらする時間を作る
「スーパービジネスマンが勝ち組」という社会が、早く終わってほしいと願っている。
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